持株会社税制について(その3)|レスター税理士法人|事業承継「バイブル」

BUSINESS SUCCESSION
事業承継「バイブル」

2021.09.30

持株会社税制

持株会社経営

持株会社税制について(その3)

Action3 親会社の役割としてグループ全体の資金効率を向上させる

組織再編を終了し、それぞれの事業が独立採算の会社として経営活動を行いつつ、親会社では連結会計を導入してグループ全体の経営成績と財政状態を把握することができました。
この組織形態をもっと活用するために、親会社へグループ全体の資金効率を上げ、資金の有効利用ができるようにします。グループ内で余剰がある法人から資金を一旦親会社が吸い上げてプールしておき、設備投資や事業展開等で資金が必要な法人へ効率的に融通するのです。これが可能になれば資金調達が非常にスムーズかつスピーディに行うことができますので、どのようにこれを実行するかについて詳しく解説致します。

まず、グループ内での余剰資金を親会社へ移転させる方法ですが、親子関連会社という利点を最大限生かし、親会社は受取配当金として資金を吸い上げます。受取配当金は、一旦子会社側で配当金を支払う際に源泉徴収がされ、控除後の金額が親会社へ移転されますが、親会社の決算申告の際に受取時に源泉された分が戻ってきます。つまり、結果として受贈益などの利益とならず無税で親会社へ余剰資金を移転させることが可能になるのです。

親会社にプールされた資金は、必要に応じて子会社へ貸付けを行えばいいのです。この時の金利は、貸付け時点での市場の金利を参考にすると良いでしょう。こうすることで、外部資金にできるだけ頼らずに、そしてスピーディに必要な資金を調達することが可能になります。

さらに100%のグループ間である場合には、親子会社間又は兄弟会社間での現金の寄附は、支出側では寄附金として費用とは認められませんが、受け取った側でも益金不算入となるため利益とならず、課税されずに現金を受け取ることができます。
これにより例えば、投資で資金を調達し、返済する必要がないようにしたいと考えた時に、グループ法人税制を活用しない場合は増資を検討しますが、この方法では返済不要でかつ、資本金を増加させることなく資金を受け取ることが可能となります。
但し、100%のグループ間でない場合は、このような取引を行うと、支出側では寄附金として上記の処理と変わらないのですが、受取側では受贈益となり受け取った金額に法人税が課税されます。この時の100%とは個人による支配ではなく法人による完全支配関係が成立している場合のみを指します。

【まとめ】
グループ法人税制を活用して親会社である持株会社へ子会社の余剰資金を集めておき、事業の展開や設備投資等の検討をするときに資金調達が非常に効率的かつ選択肢が増えるということになります。つまり、グループ法人以外の場合では、資金が必要となった時の選択肢は、金融機関からの借入れ、増資が主たる手段ですが、グループ法人とすることによって、金融機関のみならず親会社からの借入れや、返済の必要が無い寄附金での資金融通が可能になるというわけです。