持株会社税制について(その2)|レスター税理士法人|事業承継「バイブル」

BUSINESS SUCCESSION
事業承継「バイブル」

2021.09.30

持株会社税制

持株会社経営

持株会社税制について(その2)

Action2  親会社の機能役割と組織体制を設計する

上図のような組織体系とし、それぞれ100%子会社にはこれまでの各事業部長を代表取締役に据え、監査役として親会社の経営企画部長を置くこととしました。親会社には不動産賃貸業を残しておりますが、主にグループ全体の経営戦略の要として機能するように、経営企画部、財務経理部を設置し、定款の主な目的もグループ全体の経営戦略策定と統括、事業管理に変更をしました。
オーナーは親会社でまず、グループの経営理念を明確に定め、グループ会社への周知を行い、これに基づいて各種規程の整備を開始しました。これによりグループとしての行動規範と、〇〇グループという、グループブランドの統一化を図ることが狙いです。

【計画実行の効果測定】
このような組織形態とすることによって、それぞれ事業の関連性がかけ離れていたためこれまで戦略が立てづらかったものが、単体の法人とすることによってその事業の自立性を高め意思決定を素早く行い推進力の向上が期待されます。さらに、グループ全体のマネジメントはオーナー社長が行うものの、各子会社には事業を行うための権限と責任を委譲することになりますので、それぞれの子会社のポストに就く幹部職員のやる気とやりがいを高める効果もあります。これは幹部職員ならずとも、各事業で働く従業員の士気にもつながります。
さらに今回のケースでは、オーナー社長が筆頭株主であり息子さんが代表の法人も将来の事業承継を視野に入れて完全子会社としました。異なる法人が一つに統合する場合、合併という方法も考えられます。しかし、この2社は株主が同一なだけで、もともと全く別の組織体です。そのため合併を選択した場合に企業文化が異なるため、お互いがなじまない可能性もあります。そこでグループ法人として親子関係とし、これをもって統合という形にした方がスムーズにいく場合があるのです。

【留意点】
このような組織形態とすることの留意点としては、単体法人の経営成績は明るみになるものの、グループ全体として経営成績、財政状態がつかみにくくなります。但し、当事務所では連結会計導入の支援を得意としていることから、この点はサポートが可能です。さらに留意点として、それぞれの事業を独立した会社とすることで、企業グループの求心力の低下につながる危険性があります。そのため、本件の場合にはオーナー社長がこれを回避するために左記で説明したような対策を即座に取りました。
留意すべきポイントとして、最後に法人税額の増加の可能性もあります。複数事業を抱えていたグループ経営に移行する前の法人の場合、各事業の損益が通算できていた(黒字事業と赤字事業の損益が相殺され、利益が少なくなりその分法人税額が低くなる)ものが、グループ法人の組織形態へ移行することで1法人、1事業となり損益の相殺ができません。その結果、グループ全体として納税金額が多くなる場合があります。